バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス)オンラインブックダウンロード

バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス)

によって 新戸 雅章


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バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス)オンラインブックダウンロード - 内容(「BOOK」データベースより)英国ヴィクトリア朝の数学者が残した二十数枚の設計図。それをもとに、百五十年の時を隔てて複元された史上初のコンピュータは、完璧に作動し、天才の夢が現代によみがえった。コンピュータの父・バベッジと彼を助け、コンピュータに恋した少女・エイダの愛と挫折の物語内容(「MARC」データベースより)英国ヴィクトリア朝の数学者が残した二十数枚の設計図。それを元に、百五十年の時を隔てて復元された史上初のコンピュータは、現代によみがえった。コンピュータの父・バベッジと少女・エイダの物語。

バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス)の詳細

本のタイトル : バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス)
作者 : 新戸 雅章
ISBN-10 : 4480041982
発売日 : 1996/03
カテゴリ : 本
ファイルサイズ : 29.21 (現在のサーバー速度は28.97 Mbpsです
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1996年の本。著者は作家。曰く・・・チャールズ・バベッジ(1791-1871)は金属細工師の子。父は金融業に乗り出し成功したため、家庭は裕福だった。ちょうど産業革命が佳境に入ったころにバベッジは生まれる。新しい織機や紡績機のはじめの頃の動力は水力だったため、工場の立地は河川周辺に限定されていた。ワットが改良した蒸気機関が登場すると、立地制約がなくなり、イギリス各地に工業都市が形成されるようになった。バベッジの父のような金融業者は新興ブルジョア層の中核であり、旧勢力のジェントルマン層にとってその台頭は脅威だった。旧勢力が新勢力に対抗する武器として持ち出したのはジェントルマンとしての教養だった。教養がないことで差別された成金は子どもに学問を受けさせようとし、教育にはお金を惜しまない。ライプニッツの記数法を採用した大陸の数学は急速に発展し、大数学者を何人も輩出する。一方、イギリスの数学や科学はニュートンを頂点として急速下降中。他国の学問を一切顧みない硬直した態度が学問の停滞を招いた。バベッジは大学卒業後、家庭的なジョージアナと結婚しするが、卒業以来定職にずっとついていない。父からの仕送りとジョージアナの父の遺産があったので生活はできた。非国教徒のバベッジはその政治的信条ゆえに大学で職を得るのが難しかったといわれる。バベッジは定職が決まらないまま、研究者となる。当時の大半の学者は実際にはアマチュアの好事家で、暮らしに不自由のない身分の者か、ほかで生活の糧を得ている者ばかりだった。プロフェッショナルな学者というのはほとんど存在しなかった。バベッジが計算機のアイディアを思いついた動機は「正確な数表」をつくることだった。数表とは、関数y=f(x)のxのいろいろな値に対するyの数値を表として配列したもの。当時、数表の計算は計算者(コンピュータ)とよばれる専門家の手に委ねられていた。どうしても間違いが忍び込むし、間違った計算が書き写され、印刷されるときにまた間違いが忍び込む。航海表の誤りは船員の命にもかかわり、イギリスのような海洋国家にとっては死活問題だった。バベッジは階差エンジンのアイディアを思いつき、計算機の模型をつかって計画の未来を確信する。階差エンジンは政府による研究開発資金の助成を受ける。父が死ぬと莫大な遺産を相続する。しかし、次男が亡くなり、愛妻ジョージアナまで亡くなってしまう。傷心を癒すためあちこちに旅行に行く。この間にも階差エンジン制作は進んでいたが、予算を超えてしまい、プロジェクトは難航する。予算オーバーになったがバベッジはあまり私財を投入したくない。金を惜しんだというより、科学プロジェクトに対する国家支援体制をつくりたいという気持ちがあったのだろう。えんえんと自腹を切りつづけててきたがそれでは悪しき先例を残すことになる。バベッジの働きかけにより、政府は追加支援を決定。最新蒸気船の建造費さえ1000ポンド足らずだった時代に総額7500ポンドが支払われる。助成金は職工たちの賃金としてバベッジから払われたが、政府の予算書にはすべてバベッジへの支出として記載されたため、バベッジは公金を不正に使用しているという噂がひろまった。この疑惑を取り消すのに苦労した。バベッジと職工のクレメントの仲も悪くなる。クレメントとのゴタゴタで、全システムを完成させるのが難しくなる。そこで、演算装置の一部だけを実演用につくらせる。当初目標からすればまったく不本意だがこれは完璧に作動した。このときの階差エンジンとは別に第二階差エンジンとよばれる別のアイディアもあった。第三階差エンジンも構想していたらしい。天才の脳裏に芽生えた夢は直接の後継者をもたない場合が多い。夢は幾世代かをへて隔世遺伝のように蘇る。だからこそ天才は孤独。専門化や分業化によって労働生産性が飛躍的に向上する。この原理をはじめて指摘したのがアダム・スミスだが、バベッジは個々の工場を例にとりつつ、その分析をより精緻なものに発展させた。マルクスはバベッジのこうした分析をノートを取りながら丁寧に読んだといわれる。蒸気機関車の発明者はリチャード・トレヴィシックである。天才肌で根気に欠けるところのあったトレヴィシックは自分の発明が大衆の関心を呼ばないと知るとあっさり手を引いてしまった。結局、鉄道の完成者となったのは愚直な努力家ジョージ・スティーヴンソンだった。炭鉱の蒸気機関を管理していたスティーヴンソンが蒸気機関車の製造に取り組みはじめたのは、トレヴィシックの機関車を見て刺激を受けたからだといわれる。技術の歴史では、最も優れているもの、最も合理的なものが標準になるとは限らない。たいていの場合は、偶然とか、行きがかりといった要素によって決まってしまう。しかも一度決まるとその後はほとんど変更不可能。階差エンジンはすぐれた計算機ではあるが、どこまでいっても高速な計算機にすぎず、決して現代コンピュータの原型とはなりえないもの。バベッジは行き詰まった階差エンジンの作業を放棄し、新しい計算機の設計に取り組む。これが解析エンジンである。バベッジの名声を後世に刻んだのは解析エンジンである。少なくとも、バベッジは世界最初のプログラム内蔵式コンピュータが作られる100年も前に、プログラム制御方式の汎用計算機を構想していた。などなど。

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