予防医学のストラテジー―生活習慣病対策と健康増進

予防医学のストラテジー―生活習慣病対策と健康増進の詳細

素晴しい本です。このような斬新な視点から健康問題を考えたことはありませんでした。有名な Whitehall Study 等々の堅いデータを引用しながら、画期的、コペルニクス転回的とも言える考察を淡々と記述しています。派手さのないテーマでもあり、淡々とした記述でもあり、さらっと読んでいると、印象薄く読み終わってしまう恐れもありますが、注意深く、問題意識を持って読むと、「健康と病気」に関する全く新しい視点を得る事ができると思います。医療に携わる人、保健や検診に携わる人、殊に、公衆衛生や医療政策に携わる人には必読書と思います。ただ、残念ながら、多くの翻訳書と同様、翻訳が非常に残念です。文学や翻訳の心得のある人ではない訳者ですから仕方がないとは言え、お世辞にも綺麗な日本語とは言えません。文章レベルのみならず、単語レベルでも不適切訳が散見されます。域値 -> 閾値、適応 -> 適用、低容量放射線 -> 低線量放射線肝血管性肉腫、肝臓血管肉腫 -> 肝血管肉腫、等々。出版社の医学書院は、誇と責任を持ってきっちりとした日本語添削を行ってから出版すべきです。