無罪請負人刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)
によって 弘中 惇一郎
4.8 5つ星のうち(27人の読者)
無罪請負人刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)ダウンロード - 内容紹介 多くの著名事件を手がけ「無罪請負人」の異名を取る辣腕弁護士が、日本の刑事司法の問題や特捜検察の腐敗ぶり、世論を真実から遠ざけるメディアの問題点などを提起する。 内容(「BOOK」データベースより) 小沢一郎氏への国策捜査、薬害エイズ事件、三浦和義ロス疑惑…弁護人だけが知る事件の真実。 商品の説明をすべて表示する
無罪請負人刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)の詳細
本のタイトル : 無罪請負人刑事弁護とは何か? (角川oneテーマ21)
作者 : 弘中 惇一郎
ISBN-10 : 4041107644
発売日 : 2014/4/10
カテゴリ : 本
ファイル名 : 無罪請負人刑事弁護とは何か-角川oneテーマ21.pdf
ファイルサイズ : 27.9 (現在のサーバー速度は23.56 Mbpsです
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クロロキン、クロマイ各薬害事件など多くの薬害事件で医療被害と闘われ、また村木厚子さんの「郵便不正事件」、三浦和義さんの「ロス疑惑事件」などに関わられた弘中弁護士のご本。目次序章刑事弁護という仕事第一章無罪判決まで-郵便不正事件第二章国策捜査の罠-小沢一郎と鈴木宗男第三章メディアとの攻防-薬害エイズ事件とロス疑惑事件第四章弁護士が権力と手を結ぶとき第五章刑事司法の現実冤罪事件や原発関連の本などを読んでいると、検察の捜査の杜撰さや、国策捜査の恐ろしさ、マスメディアのエンターテイメント至上主義が招く報道被害のむごたらしさ、それを暗黙裡に支えている日本人の弱さなどを嫌というほど思い知らされるのですが、そうした世間の大勢や権力からの圧力という逆風の中、本作の著者である弘中弁護士や反原発活動を続けておられる河合弁護士、海部弁護士、井戸弁護士など気骨ある弁護士の方々もいてくださるということに、非常に有難味を感じます。長いものに巻かれていれば楽なのに、あえてそれをせずに弱い人たちのために働かれていて本当に尊い方たちだと思います。わたしは第三章で扱われる「ロス疑惑事件」や「薬害エイズ事件」も世代ではないので詳しくなかったのですが、事件の概要と問題点がコンパクトにまとめられており勉強になりましたし、第四章で詳述される中坊弁護士のことは『騙されることの責任』という本で名前が出てきたので少し知ってはいましたが、今回初めて時代の中で中坊という人物が演じた役割について詳しく知ることができました。「ロス疑惑事件」については、わたしの身内も「三浦さんが怪しかった、犯人だったのではないか」という印象で記憶していると言っていましたが、一時犯人扱いを受けた三浦さんは無実であるにも関わらず、マスコミの過熱報道と嫉妬と好奇に駆られた世論の狂熱、それに便乗した検察警察により社会生活を破壊され、最後はアメリカで死に至ったということで、本当に信じられない程むごい事件だと思いました。ご家族は世間の狂騒の被害を受け、何も悪い事をしていないのに本名で暮らせなくなり、偽名を使って隠れるように生活することを余儀なくされていたとも書かれており、気の毒でなりませんでした。マスコミや政治家はパフォーマンスで人々を惹きつけ、「悪人」に対して土下座などわざと滑稽でインパクトのある画つくりの協力を強制し「さあ皆さん、こいつが悪人ですよ、こいつをみんなで叩きましょう、こいつは悪人だから叩いてもいいんですよ、ああ、おもしろいですね!溜飲が下がりますね!調子に乗りやがって、思い知ったか、ざまあみろ!」と言わんばかりに人間の下衆な根性を煽ってテレビ的に面白い場面を演出しますが、そんなことが真相の究明や抜本的な司法改革に対して効果がある訳ではありません。ときに政治権力や財界と結びついて、一種の社会における「善人悪人裁定(レッテル貼り)権」「生殺与奪権」という自らの権力を哄笑と共に振うマスメディアは、勿論受け取り手である我々の卑しい品性の反映であるわけですが、無実の人間を罪人に仕立て上げるのですから、本当に人間というのはなんという醜くどうしようもない生き物だろうかと辛くなります。中世の魔女狩りや異端審問は、大衆の嫉妬というよりは教会関係者や貴族の財産没収目的や政敵追放などの思惑も絡んでいたわけですからこの事件より更にあくどいですが・・古代ギリシャの「陶片追放」悪用により似ているのかもしれません。しかし、イプセンの戯曲『民衆の敵』やBBCドラマ『SHERLOCK』の「ライヘンバッハ・ヒーロー」のように、マスコミを取り込んで人々の嫉妬や反感を煽り、ある人物を自らの手を汚さずに社会的に抹殺する、ということも考えられる訳で、メディア情報には警戒が必要だとつくづく思いました。第五章は司法制度の問題点について述べられていますが、類書で指摘されている事柄とおおむね重なっており、「人質司法」の改善の必要性-否認した場合の長期拘留、検察の作成したシナリオに沿った虚偽の自白強要と調書作成、検察の組織論理至上主義、また検察の常態的な調書ねつ造と限定的な証拠開示などについて批判されています。弘中さんは現代日本社会が「弱いものいじめの社会」になって来ていると危惧され、「警察が摘発し、マスコミが『悪い』と決めつけるから『悪くなる』のであり、普通に暮らしているときの価値観からすると、理解できることは色々あるのではないか。人間を善悪に二分する『悪者叩き』は、自己責任の名のもとに競争社会からの落伍者を容赦なく見捨てる社会と軌を一にした現象のように感じる。弱者を集団で痛めつけるいじめの構造にも重なる。刑事事件にも見られるこの悪弊は、日本人全体の問題をも映し出しているように思える」戦後70年を過ぎ、アメリカにおんぶにだっこで来た日本人は、永田町と霞が関、マスコミらの腐敗の果てに必然的に人災として起きた原発事故を経験し、アメリカの凋落と、基地から撤退してもいいと言うアメリカ大統領候補の出現、かつてのような経済成長の見込めない将来に直面しており、いよいよ成熟した国民にならなくてはいけなくなっていると思います。憲法、三権分立、司法制度についても、国民的な問題意識を持ち、議論し、自分たちの国に責任を持って向き合うべき時なのではないでしょうか・・。
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